歯科医療関連訴訟事案【1】

ご遺族からの損害賠償請求

病院、担当医師及び関与医師が、癌によりご逝去された患者様について遺族より総額78,297,000円請求されたが、全面棄却が認められた事案

地方裁判所判決:平成30年2月22日

【案件の概要】

自覚症状が乏しく、癌末期状況にて入院された患者様とご家族様が、病院側の診察、治療に不信を抱いたために、転院し、その後別病院でご逝去された事案。
ご遺族様は病院との折衝を重ねたがご納得までできず、本人訴訟により病院及び関連医師を訴えた。
争点整理を重ねて【1】入院以前の人間ドック、ポリープ目的の内視鏡検査との因果関係、【2】入院後に膵炎予防措置を取らなかったこととの因果関係、【3】膵炎治療との因果関係、及び、【4】内視鏡検査による癌の転移の誘発についての因果関係が問題となった。

【経過】

依頼者は関与医師であり、同医師と病院側の弁護士と協力して本事案に対応した。
医学的論点としては、癌の早期発見の可能性とそれに関する過失、膵炎症状と治療の是非が問題となった。
医学的には、当然といえることが多く、むしろそれに伴う文献は少なかったので、裁判上の立証レベルまでにするために多くの事例や説明を尽くした。
特に、本訴訟はご遺族の心情に配慮しつつ、医療者側として適切な内容を伝えることに注力し、裁判を通してご遺族の理解が得られるように努力をした。
約3年にわたる裁判の結果、第一審判決は棄却であり、控訴はなく確定した。

【ポイント】

本件はご遺族が自身で体験した事実により、病院への不信感が根強くなったところから始まりました。
近年はインターネットにより様々な知識があふれているため、自身で医学的知識を得て訴訟に至る例は少なくはありません。
本件は、そもそも医療過誤に当たる点がないため、どうしても和解による解決はできない事案でした。
そこで、依頼者のご意向もあり、訴訟の場においても、患者様・ご家族様に対する説明義務を尽くす態度を真摯に努めることとしました。
控訴がなく、第一審で確定したことは、訴訟をとおして得られた結果ではないかと思います。