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近年、一部の悪質なクリニックによる医療過誤被害が後を絶ちません。私どもとしては、法律の専門家として、患者様の被害回復のための一助になれればと考えております。
もっとも、歯科の医療過誤事件は、重篤な後遺障害が認められにくいこともあって、どうしても獲得金額が低くなりがちです。
一方で、医療過誤事件には大きな労力が必要となるため、弁護士報酬その他の費用を極端に抑えることができません。
そのため、裁判に勝ったとしても被害回復が見込めない場合も生じます。そのような場合には、残念ながらご依頼をお断りせざるを得ないことになります。弁護士に依頼するのに適しているか否かの目安は、精神的な苦痛または金銭的損失が著しいかどうかです。
とはいえ、ご対応できる事案については全力を尽くしておりますので、可能であればセカンドオピニオン先の資料などをご用意の上でぜひご相談ください。

【被害回復が見込めない場合とは】

例えば、50万円の歯科矯正治療を開始して3か月で転居が決まってしまい、治療費返還をお願いしたら一円も返せないといわれた、という事案。
請求権(20~30万円程度)としては認められる可能性はありますが、弁護士費用の方が高くなります。そのため、被害回復が見込めないとして受任をお断りしております。
また、請求の有無について医学的調査や検査、診断が必要となる場合、その調査費用と弁護士費用を合わせると請求金額が超えることがあり、同様にお断りしております。
なお、相談・受任した場合でも、結果的に被害回復ができない場合はあります。受任の事実は被害回復の結果を保証するものではありません。

  • 歯列矯正による医療過誤
  • インプラントによる医療過誤
  • 処方薬による医療過誤 など

ご相談費用(消費税込)

1.法律相談費用 1万1,000円~(追加分 5,500円/30分)
2.受任調査費用 協力医からの意見聴取 5万5,000円~
3.証拠保全 22万円
4.着手金 最低33万円
経済的利益が300万円超の3000万円以下の場合:経済的利益の(5%+9万円)×1.10
経済的利益が3,000万円超の3億円以下の場合:経済的利益の(3%+69万円)×1.10
ただし、事案の内容により弁護士が認めた場合、最低着手金11万円も可。(その場合、報酬は30%以上となります)
5.報酬金 経済的利益:経済的利益の20%×1.10
示談・交渉での終了の場合、訴訟の報酬の3分の2となります。
6.実費 協力医による裁判用鑑定書の作成 22万円~
協力医の証人尋問日当 11万円~
その他、コピー代、交通費、郵送費、文書作成費等が事案に応じて生じます。

※ただし、3~5については、事案の内容や相談者様の経済状態などによっては、柔軟な対応が可能となっております。

ご相談の流れと注意点

多くの歯科医療過誤事件は、弁護士に依頼するのに不向きなのが実情です。
そこで、私どもは、相談者様の出費が無駄になってしまう事態を避けるべく、 相談フォーム、有料法律相談、協力医の意見聴取の各段階で慎重に受任可能性を検討することとしております。

1相談申込み

相談確認フォームに必要事項をご記入の上、相談をお申し込みください。

※相談をお申し込みいただいても、必ずしもお受けできるとは限りませんので、ご注意ください。
※相談は有料(1万1,000円~ 5,500円/30分)となります。

2回答メール

当事務所から、7営業日以内(休日・祝日を除く)に、回答メールをお送りさせていただきます。
有料法律相談をお勧めする場合は、日程調整を行うことになります。
相談をお断りする理由としては、

  • 立証が困難である
  • 勝ったとしても依頼人の方が費用倒れになる可能性が高い
  • 協力医のあてがない
  • クリニック側と関わりがあるため利益相反になる

などがあります。

3有料法律相談 1万1,000円~ 5,500円/30分

法律相談は、霞門法律事務所(新橋駅から徒歩5分、内幸町から徒歩1分)での面談となります。

弁護士がお話を伺い、資料も拝見した結果、医療過誤の可能性があると判断した場合は、 次に協力医からの意見聴取を行うことになります。

一方で、弁護士がこの段階で受任できないと判断した場合は、有料相談のみで終了することになります。

※電話・ZOOM等でのご相談も対応可能です。

4協力医からの意見聴取

大学教授などの協力医から、問題となっている治療内容についてご意見をいただきます。

協力医の先生が医療過誤の可能性があると判断された場合は、弁護士から具体的な方針についてご提案させていただくことになります。

一方で、弁護士が医療過誤の可能性があると判断したとしても、協力医の先生が医療過誤ではないと判断された場合は、受任できないことになります。

※意見聴取に要する費用は、通常は11万円、協力医への謝礼5万5,000円が追加ですが、 検討に要する労力が大きい場合は金額が高くなることがあります。

5方針のご提案

事務所に再度お越しいただいて、弁護士から見通し、方針、契約内容、リスク、今後の流れなどについてお話をさせていただきます。

6受任

弁護士からの説明を聞かれた上で、依頼を希望される場合は、 委任契約書と委任状にご署名ご押印をしていただきます。

これによって、弁護士は代理人という立場になり、裁判所に提出する書面作成などに着手いたします。

Q&A

医療過誤事件は難易度が高く、判決で認容される方が稀です。
そのため、通常の訴訟よりも、高度な医学的な裏付け証拠の入手に加え、それを裁判所が認容するために過大な事件処理の労力が必要となり、弁護士費用も2倍程度はかかります。
また、証拠入手の経費も、私的鑑定の医師の意見書及び協力費が20~40万円、証拠保全の写真費用が8~20万円、録音したデータの翻訳が5~8万円、英語文献の翻訳が5~10万円程度などかかってきます(いずれも平均的な金額であり、事件の内容によって大幅に変更します)。
そのため、たとえ認容判決がでたとしても、費用倒れとなってしまうケースが少なくありません。
このような事情から、歯科の医療過誤事件では、弁護士に依頼すると費用と時間が無駄になってしまう可能性が比較的高いといえます。
そのような事態を防ぐために、私どもは受任に適した事件かどうかを慎重に検討することにしております。

弁護士費用、裁判所に支払う費用、協力医から私的鑑定書をいただくための費用、裁判所で行う鑑定費用、証拠取得費用及び作成費用などがかかります。
弁護士費用については、一般民事事件では、着手金は、獲得額が300万円以下の場合は8%、300万円超のときは5%+9万円(最低額は10万円)、報酬金は獲得額が300万円以下の場合は16%、300万円超のときは10%+18万円が相場です。
しかし、医療訴訟の場合は、必要となる労力が大きいことから、着手金をある程度高額に設定している事務所が多いようです。

訴訟で必要となる実費は、主に裁判所に手数料として納める印紙と郵券です。手数料は請求額に比例します。たとえば500万円請求する場合は3万円です。
郵券はどの裁判所を選択するか、被告が何人かによって変わってきますが、東京地裁であれば、被告が1人の場合は6000円です。
協力医の私的鑑定書はほとんどの場合に必要となります。協力医への謝礼の相場は概ね20万円から30万円です。
裁判で鑑定が必要になると、さらに30万円または60万円程度の手数料がかかります。

証拠取得費用及び作成費用は、証拠を入手するための経費です。たとえば録音したデータを翻訳するのには、裁判所用の翻訳として1時間1万円以上することも少なくありません。医療訴訟はこのほかにも、文献の取得や翻訳でかなりの経費が見込まれます。
このように、医療訴訟には多額の費用がかかります。たとえば、100万円の支払を求めて訴訟を提起する場合、調査で11万円、着手金で33万円、私的鑑定書に33万円、手数料と郵券で1万6000円かかるとして、すでに合計額は78万6000円になってしまいます。さらに、100万円満額獲得できた場合は報酬金が16%分の17万6000円となりますから、出費は96万2000円となり、交通費や郵送費用などの雑費を併せると、費用倒れとなってしまいます。
したがって、弁護士に訴訟を依頼するのは割に合わないことになります。

弁護士に依頼するのに適している事件は、請求額が大きい事件です。
請求額が大きくなるかどうかの目安は、精神的な苦痛または金銭的損失が著しいかどうかです。
たとえば、神経が傷ついて重度のしびれや味覚障害が残ってしまった場合、健康な歯を3本以上失ってしまった場合、咀嚼機能に障害が生じてしまった場合、手術が失敗して長期間の入院を強いられた場合、入通院によって長期間仕事を休まざるを得なかった場合、高額の治療費を支払って医学的根拠に基づかない治療を受けてしまった場合、などが弁護士に依頼するのに適しているといえます。

最高裁判所の統計によれば、裁判で患者側の訴えが全部または一部認められる割合は、2割程度で推移しています。
たしかに、医療機関側が負けそうな事件は判決になる前に和解で終わることが多いため、2割しか勝てないというわけではありません。
しかし、一方で、認容判決の2割の中には、ごく一部だけ請求が認められたというケースも多く含まれます。たとえば、1000万円請求して10万円だけ認められたケースでも2割の中に含まれます。
これらに鑑みると、患者側が裁判の結果に納得したというケースは、かなり少ないのではないかと推測されます。

よほど事案簡明な事件でない限り、患者本人が訴訟を追行して満足した結果を得られるのは、非常に難しいと言わざるを得ません。
医療訴訟は、弁護士の中でも困難な訴訟の一つです。
判決が認容されるのは、過失(医療ミス)、損害、過失と損害との間の因果関係の3つの要件が全て満たされた場合に限られます。
まず、患者側は、事件に関連する膨大な具体的事実の中から法的に意味のある事実を抽出して、上記3つの要件が全て満たされ、クリニック側が法的責任を負うというストーリーを組み立てなければなりません。
そして、患者側は、それらの具体的事実があったことを証明する責任を負っています。
証明責任を負っている患者側は、医学的な知識がないにもかかわらず、現状起きている結果が誤った医療行為に基づくものであると説明し、証明しなければいけません。
そのため、裁判官に医療過誤があったという心証を抱かせるのは非常に難しい作業となります。

医療側がある程度の話し合いを望んでいる場合には、歯科医師会、学会、消費者センター等に相談することが考えられます。
また、弁護士会におけるADR、調停という手続きを使った話し合いもあります。
弁護士会ADRは、中立の弁護士が間に入ってくれるため、ある程度解決につながりやすいです。
ただし、これらはいずれも強制力がなく、医療側が和解を拒否すると打つ手がありません。
どうしても争いが強い場合は、訴訟を行うか諦めるかのどちらかになってしまう場合が多いと思われます。

法律相談は可能です(場合によっては、事前調査まで可能な例もあります)。
一般的な紛争解決への道筋、ご自身で対応されるときの注意点、どのような金額で和解した例があるかなど、有益な情報をご提供しております。

裁判は協力医が必須としているわけではありませんが、満足いく結果を得ることは非常に難しいといえます。
訴訟において何か医学的知見を主張する場合、必ず裏付けとなる証拠を提出しなければなりません。
通常は、一般的な医学的知見については医療文献でもって立証し、その医学的知見が具体的な患者にどのようにあてはまるのかという点については協力医の先生の意見によって立証することになっています。
医療側は主治医自身が専門家であるため、協力医の意見を出さなくてよい場合もあります。
しかし、患者側は、代理人弁護士も含めて医学の専門家ではないため、損害額だけが争いになっているといった例外的な場合でない限りは、協力医の先生に助けていただく必要があります。したがって、協力医の先生が見つからない場合、訴訟で良い結果を得ることは困難です。

診療記録を入手するためには、医療機関に対して開示を請求するか、または裁判所に対して証拠保全を申し立てることになります。
証拠保全という手続は、裁判官と一緒に医療機関を訪れて、診療記録の開示を求め、同行のカメラマンに写真を撮っていただく方法です。ただし、これが実施できるかどうかは、裁判所の判断に委ねられます。
自費治療では手書きのカルテが多いため、容易に改ざんすることができます。そして、悪質な医療機関は、診療記録の開示を請求された時点で中身を改ざんしてくることがあります。そのため、医療側が不可解な対応をしている場合は安易にカルテ開示を請求することは危険であり、事前に弁護士に相談した方がよいと思われます。

医療訴訟では、一審の地方裁判所で判決が出るまでに、平均で2年と少しかかります。
これに対して、民事事件全体では平均10か月程度となっています。このように、医療訴訟では非常に長い時間がかかることがわかります。
しかも、一審で勝ったとしても、相手方がそれで納得するとは限りません。相手方が高等裁判所への控訴や最高裁判所への上告をしてくると、それぞれ半年から1年程度かかります。
そのような事情から、医療機関側が全面的に争う姿勢を見せている事件では、訴訟で損害賠償を勝ち取るためには3年以上かかると考えていただいた方がよいと思われます。

依頼者の方には、裁判の準備段階で、セカンドオピニオン先で診断を受ける、元のクリニックのカルテを取得するなど、証拠を確保していただくことになります。(もっとも、前述のとおり、証拠の確保については弁護士に委ねた方がよい場合があります。)
これに対して、弁護士は、裁判所に提出する書面の作成や裁判所とのやり取りなどを行います。
訴訟が開始すると、訴訟では裁判官と双方の弁護士が話し合う期日が1か月から2か月に1回ずつ設けられ、患者側と医療側が交互に主張書面を提出していきます。
依頼者は、この書面のやり取りをする期日では出頭する必要がありません。
ご本人が裁判所に出頭しなければならないのは、主に法廷で尋問を受ける日と訴訟の終盤に行われる裁判官と和解について話し合う日の2つです。他の期日については、弁護士から報告を聞くだけで足りることになります。
とはいえ、弁護士の提出する書面をチェックするなど、弁護士の訴訟活動を手助けする必要はあります。
また、裁判所で自らが当事者の裁判が行われているという重苦しい状態が長期間続くことや相手方の出してくる書面を毎回嫌な思いをしながら読まなければならないこと、あるいは裁判に負けてしまうかもしれないという不安がつきまとうことなど、精神的な負担はかなり重いものになります。

法律的に不利な効果が生じてしまうような認め方である場合を除いて、主治医が治療の失敗を認めているという状態でも難しい場合があります。
歯科医師は患者の症状を治す義務を負っているわけではなく、治療当時の医療水準に従って最善の治療を行う義務を負っているに過ぎません。
そのため、単に治療が失敗したというだけでは、医療ミス(過失)にはあたらないことになります。
しかも、損害賠償を払ってもらうためには、医療ミスだけでなく、患者が現に苦しんでいる症状がその医療ミスに起因すること(因果関係)も明らかにしなければなりません。
医療ミスは明らかであるものの因果関係を明らかにできずに、きわめて低い額の賠償金しか得られない、というケースは珍しくありません。
したがって、主治医が治療の失敗を認めているからといって必ず満足のいく結果が得られるとは限らないといえます。

医事紛争において患者側が請求できる損害の費目は決まっています。具体的には、主に次のとおりです。

  • 発生した悪い症状を治療するために支払った再治療費及び交通費等の必要経費
  • 再治療のために仕事や家事を休まなければならなくなったことで生じた損害(休業損害)
  • 後遺障害に基づく労働能力の低下による将来的な減収(逸失利益)
  • 入通院による精神的な苦痛に対する慰謝料(入通院慰謝料)
  • 後遺障害を負ったことによる精神的な苦痛に対する慰謝料(後遺障害慰謝料)
  • 不適切な治療をされた医療機関に対して支払った治療費(ただし、その医療機関で受けた治療に全く意味がなかったという例外的な場合のみ)
  • 損害額合計の1割相当の弁護士費用(ただし不法行為という法的構成で訴訟を提起する場合のみ)

損害賠償を請求する場合は、これらを合計した金額を請求することになります。

歯科で認められることが多い後遺障害は、歯を失ったことによる後遺障害(歯牙障害)と顔面の神経が損傷したことによる後遺障害(疼痛等感覚障害)の2つです。
後遺障害には14級から1級まで等級が定められており、それぞれ裁判所における慰謝料額の相場が存在します。たとえば、14級は110万、13級は180万、12級は290万となっています。ただし、保険会社は独自の別の基準をもっているため、裁判所基準で請求しても、その金額を払ってくるとは限りません。
歯牙障害については、完全に喪失し、または歯肉から露出している部分の体積の4分の3以上を喪失して治療がなされた歯が何本あるかによって、14級から10級のどれに該当するかが決まります。本数が3本以上の場合に14級となるため、1本、2本では後遺障害とは認められず、後遺障害慰謝料を得ることはできません。
インプラント手術や抜歯の際に、神経が損傷することがありますが、この場合は14級の「局部に神経症状を残すもの」または12級の「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当する可能性があります。14級と12級の違いは、症状がCT、レントゲン等の画像や神経学的検査などの他覚的所見によって医学的に証明できるかどうかです。このハードルは高いため、歯科医療過誤の判決で12級が認定されることは稀です。

これ以上治療を続けても症状の改善が見込めないという状態を、「症状固定」といいます。
医療過誤があった場合、患者は、症状が固定するまでは再治療費、休業損害、入通院慰謝料を請求することができます。
そして、症状が固定して、後遺障害があることが確定した場合は、後遺障害を負ったことによる精神的な苦痛に対する慰謝料(後遺障害慰謝料)と後遺障害に基づく労働能力の低下による将来的な減収(逸失利益)を請求できるようになります。
このように、症状が固定した段階で、はじめて損害額が確定することになります。そのため、通常は症状が固定した時点で示談交渉を開始することになります。
ただし、一般的な交通事故でも、症状固定までの期間は合理的な理由がない限り3~6か月程度といわれています。

訴訟を提起して勝訴判決を取得したとしても、裁判所が賠償金を取り立ててくれるわけではありません。
勝訴した側が実際に金銭を回収するためには、強制執行という別の手続が必要になります。そのため、一般的には、判決は強制執行を行うための許可状のようなものに過ぎないと言われています。
もっとも、医療過誤事件の場合は、ほとんどのクリニック、歯科医師が歯科医師賠償責任保険に入っており、敗訴が確定すると保険を運営している保険会社や歯科医師会が賠償金相当額の金銭をクリニックに支払う仕組みになっています。
そのため、強制執行まで必要になるケースは通常ありません。
ただし、治療費の返還をめぐる紛争など医療過誤ではない紛争は、賠償責任保険でカバーされていません。
そのため、判決を取得したにもかかわらず医療側が払ってこないというケースは考えられます。そのような場合には、強制執行が必要になります。

証拠を確保しないまま口腔内の状態を変えてしまうと、たとえ元のクリニックに何らかの責任があったとしても、それを証明できなくなるおそれがあります。
そのため、転院先で再治療を開始するのは弁護士に相談してからにしたほうが無難です。

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